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今日は、香南歴史民俗郷土館へ水石(すいせき)展を見に行ってきました。
香南町は高松市内にある町で、香川県で唯一空港のある町です。
香川県人は、ここから東京に向けて旅立ったりします。。
香南歴史民俗郷土館は、空港のすぐ近く。
中世の城・由佐城(ゆさじょう)があった所にあります。
館長さんは、とっても気さくで物腰がダンディな人。
水石(すいせき)素人(しろうと)の【緑由】に色々教えて下さいました。
せっかくなので、お話した内容を会話文でもう一度再現してみようと思います。
【緑由】ズバリ、水石(すいせき)の見方は?
【館長】一つの石から、自然を連想するとか石の持つ情感(じょうかん)を感じることです。
難しく考えず、石を見て色々なことを想像してください。この石は山に見える、とか人物に見える、とか。
そこにある石を使って、色々なイメージを持つことが大事です。
日本人の芸術は、ただそこにあるモノを観るだけではなくて、その後ろにあるものを想像力を働かせつつ観るということにあると思います。
【緑由】盆栽もそうですね?
【館長】確かに。でも盆栽はまだ人が手を加える余地があります。この枝は切ってしまおうとか、ここに花を咲かせようとか。
その点、水石はこれ以上手を加えることができません。ただ、そこにある形を飾るしかない。そこが水石が他の芸術よりもう一歩進んでいる点だと思います。
【緑由】なるほど。。。この石は香川県の山並みみたいです。低い山が連なってる。
【館長】そうそう、そんな風に観ていけばいいんです。
この石は、蟹(カニ)が爪で引っ掻いたように見えることから「蟹黒石」と呼ばれています。
【緑由】本当だ。。。
【館長】こんな風に一つひとつ石だけを観ていくのも良いですが、他のものを足してひとつの世界を創り出すのも水石の面白いところです。
例えばこんな感じ。
焼物の人物が空を見上げると、
掛け軸の鷹が大空を羽ばたき、
水石の山が悠然とそこにあるのです。
【緑由】うわぁ、本当に一つの世界が創り出されている!
【館長】狭い空間ですが、観る人の想像の世界は無限大、なのです。
他に、水石がそんな風にみえるということから創り出す世界もあります。
こんな感じ。
わかりませんか?もうちょっと拡大して。
観音様のお顔です。観音様がそこに鎮座していらっしゃるように見えることから、このように
厨子(ずし・仏像などを安置するためのもの)に入れてしまっています。これも一つの世界ですね。
【緑由】本当だ!観音様に見えます。優しいお顔立ちをしている。。
【館長】そんな風に見えるのも、【緑由】さんの想像力が働いてきたからですよ。
【緑由】そうなんですね。。あっ、これはポスターにあった水石(すいせき)ですね?薄い焼物の入れ物の中に砂を入れて、その上に水石(すいせき)を配置している。。
【館長】そう。この焼物を水盤(すいばん)といいます。こんな風に砂の上に水石(すいせき)を配置するのも一つの方法です。砂には小さい蟹(かに)が二匹います。肝心の水石(すいせき)には、滝が流れているような模様が入っています。
【緑由】えっ?!これ後からつけた模様じゃないんですか?
【館長】自然にできたものです。水石(すいせき)では自然にできた模様をいかに見立てるかも大事なポイントなんです。
いずれにせよ心が豊かでないと、この芸術の世界はわかりにくいかもしれませんね。。のんびり日々を楽しむ豊かな心。自然に生きる大切さ。そんなものを思い出すのに水石(すいせき)はとてもいいような気がします。
【緑由】はい。何だか観ているうちに心がすっと澄んだ気がします。今日はありがとうございました。
【館長】ありがとうございました。
とこんな感じでしょうか。。
何かラジオ局の取材みたいになってしまいました(笑)。
実際は、館長は【緑由】の元上司であり、二人で讃岐弁を使いながらもう少し騒がしく観て回ったのですが。。
館長がこのブログ見たら、あまりに綺麗な文章に仕上げていて噴き出すかもしれません(笑)。。
でも、本当に心は少し澄んだような気がしました。のんびり心を思い出す、というか。。
今日の感想。
芸術だからって難しく考えず、観ることを楽しむのが大切なんだな、って思います。
どんな風に思っても、どんな風に感じても、それは観ている人の自由。
それだけでも十分良いことだけれど、その気持ちを他にも観ている人と共有できたらそれはもっと素敵なこと。
穏やかな気持ちで、心を十二分に開放しながら、想像する。
それを優しく人と共有する。
それが、雅(みやび)の世界なのかもしれない、と
ちょびっと雅人(みやびびと)になった気持ちで考えたのでした。。
今度、水石を出展していたおじさまを質問攻めにしなくっちゃ(笑)。
あ、雅(みやび)な心、忘れそう。。。(笑)。